大判例

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大阪地方裁判所 平成9年(行ウ)10号・平9年(行ウ)9号 判決

原告

鈴井喜代三(X)

右訴訟代理人弁護士

佐々木信行

被告

大阪府淀川府税事務所長 (Y)

巽利文

右訴訟代理人弁護士

井上隆晴

青本悦男

細見孝二

右指定代理人

中安通廣

森口昌彦

香川幸一

新道英樹

深井竹史

花谷秀樹

事実及び理由

第三 争点に対する判断

一  地方税法七二条五項四号にいう不動産貸付業の解釈及び認定に当たっては、個人の事業税の性格、目的等その立法趣旨を考慮すべきであるところ、事業税は、事業という事実に着目し、事業活動自体に経済価値収得の力が存し担税力があると考えられることや、事業と行政との応益関係に立脚して、事業そのものを課税客体とする、いわゆる物税であるから、個人の事業税における不動産貸付の事業性の認定に当たっては、右貸付けの事実そのものに重点をおいて考えるのが、右の立法趣旨に沿うものということができる。

一方、共有関係においては、各共有者は、共有物の全部につきその持分に応じた使用(収益)をすることができる(民法二四九条)ことから、共有に係る不動産が貸し付けられている場合においては、共有者全員が共同で当該不動産の全部を貸し付けているというべきであり、言い換えれば、各共有者においても、その持分割合に応じた部分ではなく、当該不動産の全部を貸し付けているものと観念することができる。

右のような個人の事業税の立法趣旨及び共有の法的性質に鑑みれば、被告が本件認定基準の適用において、共有不動産全部(本件建物の全室)を基準として不動産貸付業の認定をしたことは、何ら不合理ではなく、右認定に基づく本件各処分は適法というべきである。

二  これに対し、原告は、右のような解釈は社会通念に反しており、所得税及び相続税の場合と同一の取扱いにすべきであると主張するが、各租税はそれぞれに異なる性格、目的等を有するものであるから、各租税ごとにその立法趣旨に応じた解釈、適用がなされるのは当然のことであるし、また、原告が指摘する各通達については、通達そのものは裁判規範となるわけではない上、相続税に関する租税特別措置法通達六九の三―一による取扱い(前記第二の三2(二)(1)参照)が、税法上の慣例を形成するに至っていたものとも認められない(原告が指摘する所得税基本通達二六―九は、共有不動産に係る事業の認定に言及したものではない。)。

また、原告は、単独所有及び区分所有の場合に比して公平に反すると主張するが、共有の法的性質がこれらの所有形態のそれと異なるものである以上、取扱いを異にしても公平に反するということはできない。

(裁判長裁判官 鳥越健治 裁判官 戸田彰子 出口尚子)

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